ポラロイドは「撮ったあとすぐに見られる」という、いたって素朴な要求を満たす世紀の大発明だったのでしょう。(そもそも、その前に写真そのものの発明があったのですが。)しかるにデジタルカメラの(これまた)発明により歴史的役割を終えたのは間違い有りません。(例えば、ろうそくが電球に取って代わったように。)インスタントカメラと呼ばれるその写真システムに僕が惹かれたのには、三つの理由があります。一つはさっきも言った「すぐに見られる」という面白さ。二つめは「ぬめっとした変な画調と、曖昧な色調」。三つめが「{フレーム付きカード}状の始末のよい物質化」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥●1987〜88年の冬:ニューヨークでの一枚です。87年の晩秋から約一年間、ニューヨークで暮らしました。僕の使っていた「ポラロイド・スペクトラ」は、そのちょっと前にニューモデルとして発表されたものだった記憶があります。その初回モデルにスケルトンの限定品があって、それを四十丁目界隈のカメラやで買いました。(その前にもポラロイドは持っていたのですが、スペクトラ以前の機種です)「ほら、オレのは透けていて中の機械が見えるんだぜ。」が、自慢でした。そのカメラは(何度かのオーバーホールを経て)健在です。でもフィルムが無きゃねぇ。