僕が3年以上、毎日撮ってコメントを付けた、ポラロイドによる展覧会を開きました。東京都の財団(財団法人東京都歴史文化財団・東京芸術劇場)との共催になって、400平米もあるギャラリーが会場だったんです。6日間で約1200名のお客さまが見に来てくださいました。このサイト内にあるポラリ日記も同質なものなのですが、むしろ本展のスケッチブックに貼って、鉛筆で書きなぐったものがプロトタイプ、原物を大勢の方に見ていただいて、幸せでした。ちなみに展覧会開催前後には、このサイトに2万人の方々がアクセスしてくれました。

●ぽらり東京のロゴです。

●展覧会趣旨

ポラロイド・カメラをもってふらりと出かける。それを「ポラリ」と石川源は呼びます。
彼はグラフィック・デザイナー。その他にも奥さんと生活雑貨のお店をやったり、写真を撮ったり、舞台美術や木彫まで、彼の仕事は多岐に渡ります。そんな彼の口癖は「僕は好奇心を食べて生きているんだ。面白いコトは360度、どこにでもあるんだ。」と。
この数年、彼はいつもポラロイドカメラを携行しています。遊びの時はもちろん、仕事の時もです。好奇心旺盛な彼の目にとまった眼前の光景を、ポラロイド・ピクチャーに捕獲します。まるで昆虫採集のように。4枚づつスケッチ・ブックに貼り込み、その時感じたことを、文字通り「書きなぐって」います。
今回の「ポラリ東京」展は2003年3月から3年以上に渡って、彼が毎日採集した「石川源の視点による東京の記録」、スケッチブックのページ460枚前後をずらりと並べて、一気に見ていただこうというものです。その長さはびっしり並べて150メートルをゆうに越える膨大なものです。
さて「ポラリ」とはいったい何なのでしょう?
石川源という一個人の、くだらないの行動記録なのでしょうか?
数片のポラだけならば、そう言って破棄してしまってもいいでしょう。しかし、1800カットを超えるスナップと文章、その圧倒的な密度は、全体を通して、見る人それぞれに何かを感じさせるパワーがあると思われてしかたありません。ある人は「東京という街の細密描写だ。」と、またある人は「これはゆるやかなジャーナリズムだ。」「石川源の自画像だ。」と。何れにしろ「面白く生きるためのガイドブック」であることは間違いありません。
まとめてみるなら、「著しく変貌する東京のマクロなドキュメント(記録、文献)としての面」と「好奇心旺盛な生きていく“楽しさ”と“豊かさ”を表した面」の二面があるということです。
本展を企画するにあたり、見に来てくださる方々に
「好奇心こそ芸術や化学を育む、すべての原点」
そんな真理の、再発見のきっかけになれたらと思った次第です。
財団法人東京都歴史文化財団
ポラリ東京展実行委員会

●作品例
(引きちぎったスケッチブックに4枚のポラが貼り込んであります。作品総数456点)

●ポスター

●バナー
(天井から床まで4mの長さです。)